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2014年07月25日

10分でわかる「平家物語」灌頂巻「六道之沙汰」その3(徳子が壇ノ浦の合戦で見た地獄と夢の中で見た畜生道)



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二位尼やがていだき奉ッて、海に沈みし御面影、目もくれ、心も消えはてて、わすれんとすれども忘られず、忍ばんとすれどもしのばれず、残りとどまる人々のをめき叫びし声、叫喚大叫喚の炎の底の罪人も、これには過ぎじとこそおぼえさぶらひしか。


さて武士どもにとらはれてのぼりさぶらひし時、播磨国明石浦について、ちとうちまどろみてさぶらひし夢に、昔の内裏にははるかにまさりたる所に、先帝をはじめ奉ッて、一門の公卿殿上人みなゆゆしげなる礼儀にて侍ひしを、都を出て後、かかる所はいまだ見ざりつるに、「是はいづくぞ」ととひ侍ひしかば、弐位の尼と覚えて、「竜宮城」と答へ侍ひし時、「めでたかりける所かな。是には苦はなきか」ととひさぶらひしかば、「竜畜経のなかに見えて侍らふ。よくよく後世をとぶらひ給へ」と申すと覚えて夢さめぬ。其後はいよいよ経をよみ念仏して、彼御菩提をとぶらひ奉る。是皆六道にたがはじとこそおぼえ侍へ」と申させ給へば、法皇仰せなりけるは、「異国の玄弉三蔵は、悟の前に六道を見、吾朝の日蔵上人は、蔵王権現の御力にて六道を見たりとこそ承れ。是程まのあたりに御覧ぜられける御事、誠にありがたうこそ候へ」とて、御涙にむせばせ給へば、供奉の公卿殿上人もみな袖をぞしぼられける。女院も御涙をながさせ給へば、つき参らせたる女房達もみな袖をぞ濡らされける。


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平家物語図典


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〈現代語訳〉


「二位の尼がそのまま帝を抱き申し上げて、海に沈んだときの帝の面影を、目の前が暗くなり、意識も朦朧として、忘れようとしても忘れられず、耐えようと思っても耐えられず、あとに残った人々がわめき叫んだ声は、叫喚大叫喚地獄の炎の底にいる罪人も、これ以上ではないだろうと思いました。


そして武士たちに捕われて都へのぼりました時に、播磨の国の明石の浦で少しまどろんで見ました夢に、かつての内裏よりもはるかにまさって立派な場所に、帝をはじめ申し上げて平家一門の公卿殿上人がみなしっかりと礼儀を正しておりましたのが、私は都を出た後、このようなところはまだ見たことがなかったので、『ここはどこですか』と尋ねましたところ、二位の尼と思われた声で、『竜宮城』と答えました時、『すばらしい所だなあ。ここには苦しみは無いのですか』と私が問いましたところ、『竜畜経の中に詳しくは書いてあります。よくよく来世のことを弔いなされ。』と申すと思われて夢が覚めた。その後は、ますます経を読んでで、念仏をして、一門の人々の菩提を弔い申し上げている。これらは皆、六道そのままであると思います。」と申し上げなさったところ、法皇がおっしゃったことには「外国の玄奘三蔵は、悟りの前に六道を見て、我が国の日蔵上人は、蔵王権現の力で六道を見たと、承っている。これほどに、あなたが、まのあたりに六道をご覧になられたことは、本当にめったになく素晴らしいことです。」と、法皇は涙にむせびなさったので、お供の公卿や殿上人もみな涙に濡れた袖をしぼられた。女院徳子も涙を流しなさったので、つきそい申し上げている女房たちも皆袖を涙で濡らされた。


posted by manabiyah at 12:42| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする