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2014年08月20日

水原一先生の言葉

NHKラジオの「古典講読」で「平家物語」を講義されていた水原一先生が、その放送中におっしゃっていた言葉です。感銘を受けましたのでここに引用します。皆さんも是非ご覧になってください。
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この「古典講読」では「平家物語」の全巻を読み通すということを目標として、巻一を終わりました。今日は巻二に入りますが、私などは「平家物語」にご飯を食べさせて頂いているようなものですが、それでもなかなか全巻を順を追って全部読み通すという機会はそうあるもんではありません。まして声を出して朗読する、それを全巻通してとなると、正直申して、私、これで2回目です。

で、第1回は学生の時でありましたが、「平家物語」というのは好きで、自分でも読んでおりましたけれども、専門の授業を受けました時に、「これは琵琶法師の語り物なのだ」というのを聞いた時に大変ショックでした。そうか、それじゃあ、この「平家物語」というのは黙読しては駄目だ。声に出して読まなくてはいけない。そう思いまして、全巻朗読ということを始めました。

我が家でも、電車の中でも絶えず、一冊「平家物語」を持っておりまして、これは流布本系統の野村宗朔先生という方が校訂した一冊本でありましたが、時には歩きながらでも読んだものです。電車の中では、周りの人をはばかって小さい声でつぶやきながら、「とにかく朗読するのだ」ということで続けておりました。

ちょうど戦争のたけなわの頃でして、学校が焼ける、私のうちが焼ける。焼けた中に、一冊この「平家物語」が残っておりまして、それをまた、あちこち仮住まいをしながら読んだものです。田舎の親戚のもとに家族で疎開いたしまして、疎開した途端に私が兵隊に入ることとなりました。その時にまだ終わりの方が、若干残っておりました。入営する前夜、親戚のうちの間借りをしておりましたけれども、空いている部屋に入りまして、夜中過ぎまでかかって、全巻をとにかく読み終えた。そうして兵隊に行った。そんな経験がございます。

それを全巻読み終えた時の感想というのは、ちょっと言葉には言い表せませんけど、薄暗い電灯の下で読んだはずなのですが、何か、こう、記憶の実感としては、暗闇の中で「平家物語」を読んだ、そして読み終えた。そんなような感じが今でも残っているのであります。

この講座、お聴きの皆さんも、テキストをお持ちの方は、どうぞ声を出して、いっしょにお読みくださいますと、得難い経験を得るということになるのではないでしょうか。古典の勉強の基礎というのは、まず何よりも「作品を読み通す」ということにあるだろうと思います。それでは巻二に入ります。
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戦争の闇の中の日本で、自ら戦いの中へと身を投じる覚悟の中で、 滅び行く平家の物語を読むというのは、どれだけ強烈な体験だったのでしょうか。

このような体験を現代の我々がすることはないと思いますが、とにかく

古典の勉強の基礎というのは、
まず何よりも「作品を読み通す」ということにある


ということだけは変わらない本質だと僕も強く感じます。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする