「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
全て無料でダウンロード可能です。
オススメの使い方は→こちらをご参照ください。

2017年08月31日

宇治〜「平家物語」と「源氏物語」宇治十帖を巡る旅2(宇治十帖古蹟〈夢浮橋〉〈橋姫〉)

宇治といえば「平家物語」では合戦の地としてのイメージが強い。
一方で「源氏物語」ファンには光源氏亡き後の物語「宇治十帖」の舞台としてお馴染みだ。

そんな宇治十帖ゆかりの遺跡が宇治には存在する。
IMG_4127.jpg

それが「宇治十帖古蹟」だ。
http://www.uji-genji.jp/genji/spot/
>千年の間、人々に愛されてきた 『 源氏物語 』 はフィクションであるにもかかわらず、その古蹟が宇治に点在しています。
>江戸時代、好事家(こうずか=風流な事柄を好む人)たちによって、物語最後の十帖にちなんだ古蹟が各々定められたのです。

今回は平家遺跡のみならず、この「宇治十帖古蹟」をすべて巡ってみるという計画を立ててきた。

夜行バスで到着するメリットは朝早くから活動できること。充分時間的にはいけるはずだ!

まずは〈夢浮橋〉から。
IMG_4128.jpg

宇治橋のたもとにあるのは、橋からの連想か。
IMG_4129.jpg

IMG_4130.jpg

続いて平等院方面に少し移動して〈橋姫〉古蹟へ。
IMG_4131.jpg

こちらが橋姫神社。
IMG_4132.jpg

ここに祀られている「宇治の橋姫」は宇治橋を守るという女神で、住吉の神が毎夜この神のもとに通ったと言われる。

「源氏物語」〈橋姫〉では薫が大君をこの橋姫になぞらえて「橋姫の心をくみて高瀬さす棹のしづくに袖ぞぬれぬる」と詠んでいる。

実はこの橋姫の伝説は中世になって発展して「嫉妬深さゆえに鬼女となった女性」という形になるのだが、それが「平家物語」の諸本の一部で〈剣の巻〉に引用されている。

ここに百二十句本の記述を引用する。

>嵯峨の天皇の御宇、ある女、あまりにものを妬み、貴船の大明神に祈りけるは、「願はくは鬼となり、妬ましと思ふ者をとり殺さばや」とぞ申しける。神は正直なれば、示現あらたなり。やがて都に帰り、丈なる髪を五つに巻き、松脂をもつてかため、五つの角をつくり、面には朱をさし、身には丹をぬる。頭に鉄輪をいただき、三つの足に松明を結ひつけ、火を燃やし、夜にだになれば、大和大路を南へ行き、宇治の川瀬に三七日ひたりければ、逢ふ者肝を消し、やがて鬼とぞなりにける。「宇治の橋姫」とはこれなり。

また「平家物語」巻五〈月見〉でも「源氏物語」〈橋姫〉の記述が引用されている。

「平家物語」覚一本の記述を見てみよう。

>源氏の宇治の巻には、うばそくの宮の御むすめ、秋の名残を惜しみ、琵琶をしらべて夜もすがら心をすまし給ひしに、在明の月の出でけるを、猶たへずやおぼしけん、撥にてまねき給ひけんも、いまこそ思ひ知られけれ。

こちらは下記の「源氏物語」〈橋姫〉がもととなっている。

>内なる人一人、柱に少し居隠れて、琵琶を前に置きて、ばちを手まさぐりにしつつ居たるに、雲隠れたりつる月の、にはかにいと明くさし出でたれば、「扇ならで、これしても、月は招きつべかりけり」とて、さしのぞきたる顔、いみじくらうたげに匂ひやかなるべし。

さて、ここから再び宇治川へ。

この宇治川は「平家物語」では梶原源太景季と佐々木四郎高綱の先陣争いで有名なのだが、宇治川の中の島にはそれを記念した碑があるとのこと。

IMG_4133.jpg
中の島へはこんな橋を渡っていくことができる。

IMG_4134.jpg
だが、なんと。工事中のために宇治川先陣の碑は非公開となってた。

うむむ残念。まあでもこれはこれで貴重な記録ということで。

IMG_4135.jpg
さてさらにこんな橋(朝霧橋)を渡って反対側の岸を目指していく。
IMG_4136.jpg
IMG_4137.jpg

IMG_4140.jpg

橋の上からの光景。(続く)

posted by manabiyah at 01:00| 平家物語を巡る旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする