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2017年08月31日

宇治〜「平家物語」と「源氏物語」宇治十帖を巡る旅4(三室戸寺から源氏物語ミュージアム)

「宇治十帖古蹟」〈浮舟〉の碑は三室戸寺にある。

光仁、花山、白河天皇の三天皇の離宮になった事から「三室戸寺」という名になったとのこと。

白河天皇といえば、「平家物語」の中では清盛の父であるという説も述べられており縁がないわけでもない。

三室戸寺と〈浮舟〉の関係はこちらに詳しい。
http://www.mimurotoji.com/article.php?id=136

上記の記事によれば八の宮の師である阿闍梨の住む山寺はこの三室戸寺であるとされる。

徐々に三室戸寺に近づく。
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到着した。
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見事な石庭。
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これはよい景色。
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あじさいやツツジの季節がお勧めらしい。
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石段を上った先にある本堂と鐘楼の間の位置に〈浮舟〉の碑がある。

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こちらは三重塔。

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三室戸寺から今度は〈蜻蛉〉の碑を目指す。

途中セブンイレブンのある角から曲がって、浮舟亭というお好み焼き屋さんの前を通って歩いていく。
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この方向には「源氏物語ミュージアム」がある。

それよりも手前に〈蜻蛉〉の碑はあるはずだが、発見できぬままに「源氏物語ミュージアム」に辿り着いてしまった。

ちょうど施設の外にミュージアムの方がいたので〈蜻蛉〉の碑の場所を尋ねる。

とりあえず先に〈総角〉の碑を発見。ミュージアムのすぐ近くにあった。
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この付近に八の宮邸があったと想定されていたことが由来のようだ。
(先述したように八の宮邸をもっと宇治神社寄りに想定する見方もある。)

さて再び〈蜻蛉〉の碑を探して、来た道を戻る。

しばらく探してやっと発見!
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「京都翔英高等学校の脇」と表現するのが適切だろう。
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「あさひ保育園」へと導く矢印がある道を入る。
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〈蜻蛉〉の碑の後ろに写っているのが翔英高校の校舎。
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こちらの線刻阿弥陀三尊石仏が「かげろう石」で作られていることが〈蜻蛉〉の由来のようだ。
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続いて「源氏物語ミュージアム」へ。
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ここの見所は源氏が様々な女性たちを周囲に住まわせた「六条院の完全再現ミニチュア」だと思う。

また、宇治十帖を主題とした映像「橋姫 女人たちの心の丈」の上映も楽しむことができる。こちらは大河ドラマ「義経」でもお馴染みの白石加代子さんが橋姫と語りを担当したドラマ。宇治十帖の映像作品って結構珍しいと思う。

白石加代子さんの演ずる橋姫の存在感がものすごくて大変に面白かった。ちなみにこちらの映像作品のDVDは併設されているミュージアムショップで販売している。1枚3,000円という価格だが、これは手元に持っておきたいので購入した。
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なお「浮舟」というタイトルの篠田正浩監督による人形による映像作品も合わせて上映されていたが、僕としてはこちらの方はあまり面白いと思わなかった。大変失礼な言い方だが演出のセンスが悪いな…という印象だった。(篠田監督の「心中天網島」は大好きで何度も繰り返して観ているんだけど。)



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喫茶室で茶そばと茶飯のセットを食べた。(続く)
posted by manabiyah at 03:00| 平家物語を巡る旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

宇治〜「平家物語」と「源氏物語」宇治十帖を巡る旅3(「宇治十帖古蹟」〈東屋〉の由来)

朝霧橋を渡り終えるとこちらの橋のたもとには、匂宮が浮舟を抱いて小舟で漕ぎ出す場面を描いたモニュメントがある。
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ここが「宇治十帖古蹟」巡りのスタート地と想定されているのか、コース案内もあった。
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向かいには宇治神社がある。八の宮の邸はこの辺りにある想定で書かれたいう説もある。
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ここから川に沿って宇治橋方面に歩いていく。
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紫式部像のあった側とは反対の方。

こちら側には吉川英治「宮本武蔵」にも登場する通圓という茶屋もある。
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https://www.ujimiyage.com/user_data/profile61.php

朝早過ぎてまだ開いていなかった。
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これは京阪宇治駅。
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こちらの近く(東南側)に「宇治十帖古蹟」〈東屋〉がある。
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鎌倉時代に作られたという東屋観音が結跏趺坐している。
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この石仏と東屋の関連については2017年9月現在で決定的な説が無いようだ。

僕自身はこんな仮説を立てている。

源氏物語〈東屋〉に中の君が薫に浮舟を勧める場面がある。

その際に薫はこんな言葉を言う。

「いでや、その本尊、願ひ満てたまふべくはこそ尊からめ、時々、心やましくは、なかなか山水も濁りぬべく」

このセリフの中で浮舟のことが「本尊」という表現で語られているのだ!
(「本尊」とは寺院や仏堂において供養・信仰の対象となる主尊たる仏・菩薩像のことだ。)

「源氏物語」のこの記述に基づいて江戸時代の好事家が、この観音像と宇治十帖〈東屋〉を重ねたという見方はできないだろうか。

またこの〈東屋〉の碑にすぐ近くに〈椎本〉の碑もある。
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こちらは彼方神社という神社。
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境内に二本の椎があり椎ヶ本社と称したことが古蹟となった由来とのこと。

せっかくなので京阪電車にも乗ってみた。
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京阪宇治駅からわずかひと駅の京阪三室戸駅で下車。

〈手習〉の碑を探して歩いていくと途中に「ハッピー六原・三室戸店」を発見。
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ハッピー六原というスーパーについては、実はかつて清盛像で知られる六波羅蜜寺などを巡った時、
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六波羅の地でも発見していた!

その時「六波羅」じゃなくて「六原」なんだな、と印象に残っていた。

さて、そんなハッピー六原に面した道を歩いていくと大きな通りに出た。

そのすぐ右側に〈手習〉の碑があった。
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薫と匂宮の板挟みとなって入水をほのめかす歌を遺して失踪した浮舟が、倒れていて発見されたのがこの辺りと想定されているとか。
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ちなみに京阪に乗らずに〈椎本〉の碑から徒歩で来る場合はこういう角度になるはず。
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木の蔭になって見つけづらいのでご注意を。
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さてここから「宇治十帖古蹟」の中ではやや距離のある〈浮舟〉の碑を目指していく。(続く)
posted by manabiyah at 02:00| 平家物語を巡る旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

宇治〜「平家物語」と「源氏物語」宇治十帖を巡る旅2(宇治十帖古蹟〈夢浮橋〉〈橋姫〉)

宇治といえば「平家物語」では合戦の地としてのイメージが強い。
一方で「源氏物語」ファンには光源氏亡き後の物語「宇治十帖」の舞台としてお馴染みだ。

そんな宇治十帖ゆかりの遺跡が宇治には存在する。
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それが「宇治十帖古蹟」だ。
http://www.uji-genji.jp/genji/spot/
>千年の間、人々に愛されてきた 『 源氏物語 』 はフィクションであるにもかかわらず、その古蹟が宇治に点在しています。
>江戸時代、好事家(こうずか=風流な事柄を好む人)たちによって、物語最後の十帖にちなんだ古蹟が各々定められたのです。

今回は平家遺跡のみならず、この「宇治十帖古蹟」をすべて巡ってみるという計画を立ててきた。

夜行バスで到着するメリットは朝早くから活動できること。充分時間的にはいけるはずだ!

まずは〈夢浮橋〉から。
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宇治橋のたもとにあるのは、橋からの連想か。
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続いて平等院方面に少し移動して〈橋姫〉古蹟へ。
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こちらが橋姫神社。
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ここに祀られている「宇治の橋姫」は宇治橋を守るという女神で、住吉の神が毎夜この神のもとに通ったと言われる。

「源氏物語」〈橋姫〉では薫が大君をこの橋姫になぞらえて「橋姫の心をくみて高瀬さす棹のしづくに袖ぞぬれぬる」と詠んでいる。

実はこの橋姫の伝説は中世になって発展して「嫉妬深さゆえに鬼女となった女性」という形になるのだが、それが「平家物語」の諸本の一部で〈剣の巻〉に引用されている。

ここに百二十句本の記述を引用する。

>嵯峨の天皇の御宇、ある女、あまりにものを妬み、貴船の大明神に祈りけるは、「願はくは鬼となり、妬ましと思ふ者をとり殺さばや」とぞ申しける。神は正直なれば、示現あらたなり。やがて都に帰り、丈なる髪を五つに巻き、松脂をもつてかため、五つの角をつくり、面には朱をさし、身には丹をぬる。頭に鉄輪をいただき、三つの足に松明を結ひつけ、火を燃やし、夜にだになれば、大和大路を南へ行き、宇治の川瀬に三七日ひたりければ、逢ふ者肝を消し、やがて鬼とぞなりにける。「宇治の橋姫」とはこれなり。

また「平家物語」巻五〈月見〉でも「源氏物語」〈橋姫〉の記述が引用されている。

「平家物語」覚一本の記述を見てみよう。

>源氏の宇治の巻には、うばそくの宮の御むすめ、秋の名残を惜しみ、琵琶をしらべて夜もすがら心をすまし給ひしに、在明の月の出でけるを、猶たへずやおぼしけん、撥にてまねき給ひけんも、いまこそ思ひ知られけれ。

こちらは下記の「源氏物語」〈橋姫〉がもととなっている。

>内なる人一人、柱に少し居隠れて、琵琶を前に置きて、ばちを手まさぐりにしつつ居たるに、雲隠れたりつる月の、にはかにいと明くさし出でたれば、「扇ならで、これしても、月は招きつべかりけり」とて、さしのぞきたる顔、いみじくらうたげに匂ひやかなるべし。

さて、ここから再び宇治川へ。

この宇治川は「平家物語」では梶原源太景季と佐々木四郎高綱の先陣争いで有名なのだが、宇治川の中の島にはそれを記念した碑があるとのこと。

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中の島へはこんな橋を渡っていくことができる。

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だが、なんと。工事中のために宇治川先陣の碑は非公開となってた。

うむむ残念。まあでもこれはこれで貴重な記録ということで。

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さてさらにこんな橋(朝霧橋)を渡って反対側の岸を目指していく。
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橋の上からの光景。(続く)

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宇治〜「平家物語」と「源氏物語」宇治十帖を巡る旅1(宇治川と宇治橋)

2017年8月30日、渋谷での夏期講習最終日を終えて、そのまま新宿バスタへ。

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そうここから僕は夜行バスで京都宇治方面へと向かったのだ。

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D11乗り場、今回使ったのはJAMJAMライナーというバス。

3列独立シート。2016年に神戸に行った時は4列シートだったので、少しグレードアップ。ちなみに値段は5,000円。

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22:10発、途中で数度休憩を入れつつ翌31日の6:20には到着。

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京都八条口に着いた。

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「なか卯」があった!

ここから激しくカロリー消費の予定なので、
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とりあえず朝食を摂って栄養補給。

JR奈良線に乗る。
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宇治駅へ到着。
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駅前の案内地図。
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宇治川に到着!
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こちらは「平家物語」巻四〈橋合戦〉や巻九〈宇治川先陣〉でお馴染みの所。

10分でわかる「平家物語」巻四〈橋合戦〉(平家を相手に戦う以仁王陣営)
http://manabiyah.seesaa.net/article/382137540.html

10分でわかる「平家物語」巻九〈宇治川先陣〉(宇治川の先陣争いの様子)
http://manabiyah.seesaa.net/article/305437643.html

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そしてこの宇治橋の西詰には紫式部の像が。
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実は今回の旅は「源氏物語」宇治十帖を巡る旅でもあるのだ。(続く)

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2017年08月10日

お知らせ

8月10日・17日・24日の放送は、夏休み特別企画として、井野川幸次、三品正保、土井崎正富、3人の検校による平家琵琶の語り「卒都婆流」をオンエアします。「新・平家物語」連続講義はお休みとなります。
posted by manabiyah at 10:28| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

「新・平家物語」第142回「りんねの巻(官倉の鍵)」源有綱は、父仲綱と再会する



↑吉川英治「新・平家物語」の朗読・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。

・持仏堂で、頼政の真意を明かされた有綱は感激する。
・二人は半日余りも、持仏堂から出て来ない。
・頼政は有綱に伊豆へ帰るようにうながす。
・伊豆へ帰る支度を進める有綱に頼政は諸国の官倉の鍵を託す。
・頼政は有綱に、この鍵を時節を迎えた時、頼朝に渡すよう言う。

【語注】
述懐(じゅっかい)=過去の出来事や思い出などをのべること
灸治(きゅうじ)=灸をすえて治療すること
相擁(あいよう)=互いに相手を抱く
曙光(しょこう)= 夜明けに東の空にさしてくる太陽の光
犬馬(けんば)の労= 主人や目上の人のために全力を尽くして働くこと


「新・平家物語連続講義」これまでの放送分です→「新・平家物語連続講義放送リスト」

*この講座の朗読部分に使用する原文は、講談社発行の「吉川英治歴史時代文庫」に収録されているものを使用しています。



なお「新・平家物語」は電子書籍でも購入ができます。iPadやkindleを使っている方は、こちらもオススメ。

格安です。



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posted by manabiyah at 08:13| 新平家物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月28日

「新・平家物語」第141回「りんねの巻(驢に乗る人)(老兵晩夢)」源有綱は、祖父頼政の真意を問いただす



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・治承三年秋、比叡山の大衆が争いを起こしているとの噂が流れる。
・学僧たちと、武装した僧兵たちが分裂して争っているとのこと。
・平教盛が、討伐に向かうも、僧兵たちの集団である堂衆に敗れてしまう。
・老武者源頼政は後白河法皇の子である以仁王の御所を訪れていた。
・頼政は、平清盛の憐れみの心によって、三位の地位を得ていた。
・頼政は馬ではなく驢馬に乗り唱とともに自宅のある近衛河原へと向かう。

【語注】
驢(ろ)=ロバ
勘気(かんき)をうける=父親などの怒りをうける
斑紋(はんもん)= まだらの模様
蔀(しとみ)= 格子を取り付けた板戸
片鱗(へんりん)=多くの中のほんの少しの部分

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